数十秒で変わる、呼吸と安心。迷走神経エクササイズ

―― 自律神経を整えるロルフメソッドの視点から
こんにちは、ロルフメソッドSI神楽坂の松本です。
施術をしていると、身体は緊張しているのに、
「特にストレスはないです」と言われる方がいます。
でも触れてみると、呼吸が浅く、首の奥が硬く張り、
“守りのモード”に入っていることが多いんです。
そんなときに役立つのが、ポリヴェーガル理論(Polyvagal Theory)。
これを知ると、「いま自分の身体がどんな状態にあるのか」を
感覚的に理解できるようになります。
目次
■ 自律神経は「3色」で感じる
従来は「交感神経(活動)」と「副交感神経(休息)」の2つで説明されていましたが、
ポリヴェーガル理論では、副交感神経をさらに2つに分けて考えます。
| 神経の種類 | イメージカラー | 状態 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 🔴 交感神経 | 赤 | 活動・戦う・逃げる | エネルギーを出して動く |
| 🟢 腹側迷走神経複合体 | 緑 | 安心・つながり | 人との関係や呼吸を整える |
| 🔵 背側迷走神経複合体 | 青 | 凍結・停止・省エネ | 身体を守るために動きを止める |
たとえば、ショックを受けて動けなくなるのは「青の状態」。
穏やかに話していてホッとする時間は「緑の状態」。
プレッシャーの中で頑張っているのは「赤の状態」。
■ “自分の色”を観察する
この3色を意識して過ごすと、自分の状態がとても分かりやすくなります。
- 🔴 赤:頑張る・守る・緊張する
- 🟢 緑:安心・つながる・落ち着く
- 🔵 青:止まる・閉じる・省エネ
理想は、緑をベースに、赤や青を必要に応じて使うこと。
| ブレンド | 状態のイメージ |
|---|---|
| 🔴+🟢(活動+安心) | 安心感を持って行動する(例:仲間とスポーツ、子どもと遊ぶ) |
| 🔵+🟢(休息+安心) | 安心して休む(例:静かな休日、昼寝や読書) |
「今日は緑青で過ごそう」「今は赤緑のモードだな」
そんなふうに色で感じるだけで、自律神経が少しずつ整っていきます。
■ 緑(安心)に戻るためのワーク
― 後頭部リリース:迷走神経を整える簡単エクササイズ ―
これは僕が施術の中でもよく使う、自律神経を整えるリリース法です。
数十秒で、頭の奥が“ふっと抜ける”ような感覚が得られます。

🪷 手順
- 両手の指を組み、後頭部(頭の後ろ)にそっと当てます。
親指は**頭蓋骨と首の境目(後頭骨の下端)**に軽く置きます。 - 右と左で「どちらかが詰まっている・膨らんでいる」と感じる方を探します。
- 詰まっている方へ、ほんの少しだけ圧をかけます。
- そのまま詰まり側の目を、その方向に向けて数秒キープ。
- すると、あくび・ため息などが出てきたら成功です。
→ これは「迷走神経」が反応し、緊張が緩んだサイン。
→ 第一頸椎が整い、頭の重さが軽く感じられ、呼吸も深くなります。
■ 脳への血流が整うと、神経が目を覚ます
後頭部リリースを行うと、脳への血流が改善され、神経機能が素早く回復します。
頸椎の動きと迷走神経の流れが整うことで、脳と身体の“通信”がスムーズに。
- 思考がクリアになる
- 呼吸が自然に深くなる
- 視界が広がる
といった変化を実感する方も多いです。
■ 「繰り返し」が身体を変える
このワークは、一度やって終わりではありません。
必要なときに何度でも繰り返すことで、神経系が学習していきます。
日々の姿勢や感情の揺らぎの中で、
何度も「緑の状態」に戻る習慣をつくること。
■ まとめ:安心は「感じる力」
ポリヴェーガル理論が教えてくれるのは、
「安心は外から与えられるものではなく、内側で感じ取るもの」。
- 頑張りすぎて赤が強いときは、呼吸を深く。
- 何もしたくない青のときは、光を浴びてみる。
- 穏やかな緑を、自分で選び取る。
その繰り返しが、
身体の中に“安心”を取り戻してくれます。
最後までお読みいただきありがとうございました。

