鍵盤奏者の身体が教えてくれた、「着ぐるみを脱ぐ」という感覚

「くしゃみをしたとき、まだ少し右の腰に響くんです」
県をまたいで通ってくださるその方は、繊細な音を紡ぐ鍵盤奏者。
年明けの違和感は引いてきたものの、身体の奥にはまだ残っている様子でした。
セッション中、ふと二人でその理由を探りました。
パイプオルガンやエレクトーン。右足でペダルを踏み込み、左側でコントロールを司る。
その繰り返される「右の踏み込み」が、知らず知らずのうちに右半身のスペースを狭め、脚を外側へと押し流していました。
まずは、縮こまった肋骨周りに「スペース」を作ることから始めました。
次に、仙骨と臀部を丁寧にほどき、骨盤を本来の水平な位置へと戻していく。
さらに今回は、子宮周りの緊張をリリースし、頭部へとワークを繋げていきました。
セッションが終わった瞬間、その方が漏らした言葉が非常に興味深いものでした。
「……なんだか、着ぐるみを着ているみたい」
肉体という外側と、その中にいる自分。
その二つが別々の存在として感じられる状態。
これこそが、僕たちが目指している「構造のアップデート」の本質です。
ベッドから立ち上がった時、彼女はさらに笑って言いました。
「頭がずっと長く、人形で吊られているみたいに軽い!」
重力に対して垂直な軸(ザ・ライン)が通った時、身体は重荷ではなく、自由な表現のための道具に変わる。
表現者の感性が、ワークの核心を鮮やかに言語化してくれた、豊かな時間でした。

